筆者も実践するMECEフレームワーク分析の使い方を分り易く解説。

『mece』を身に付けると、論理的かつ効率的な思考が身に付きます。

そして限られた時間で成果を要求されるビジネスでは、mece的な思考方法が必須ともいえます。

本記事では筆者の医療福祉の仕事での例を交えながら、そんなmeceを用いた仕事の進め方について詳しく解説していきます。

 目次

mece思考と考え方を知る

meceとは

MECEとは『Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive』ということばを略したもの。

その頭文字を取ったMECEは「ミーシー」または「ミッシー」と読みます。

そんなMECEの考え方は「漏れなく、ダブりなし」が基本とされています。

ビジネスにおけるマーケティングの場面など、ロジカルな問題解決に必要な手法であることから、重要視されている考え方です。

それぞれの頭文字を訳すとこんな感じ。

□ Mutually    :互いに
□ Exclusive   :独占的 = 重複しない
□ Collectively  :集合的に
□ Exhaustive    :徹底的で漏れなし

前述した『漏れなく、ダブりなし』をコンセプトに、問題解決に必要となる要素を漏れなく、そしてダブらないよう重複を避けた効率的なビジネス思考とも言えます。

つまりMECEを日ごろから導入してビジネス思考を身に付けることで、自身が仕事をしていくうえでの課題設定や問題解決に役立ちます。

また、MECEはロジカルシンキングにおいて基本的な考え方であり、論理的思考を習得するにはMECE導入は一番になります。

meceとロジカルシンキング

さて、今度はmeceとロジカルシンキングの関係性について確認していきましょう。

meceのコンセプトは前述したように『漏れなく、ダブりなし』。

漏れなく、ダブりなしという言葉を見ると、労働生産性向上に寄与するのかなと思われるかもしれません。

もちろん生産性向上にも大きく寄与するmeceですが、『課題設定』と『問題解決』といった場面でもその考え方は大きく貢献してくれます。

たとえばとある自動車メーカーが『売上が伸びない』といった悩みがあるとします。これはそのまま『課題設定』にすることが出来ます。

そして売上が伸びない理由を探るため、商材を洗い出していきます。ここでは取り扱い商材が『普通車』、『軽自動車』、『ミニバン』であれば、それを設定します。

ここまでくると普通車、軽自動車、ミニバンの売上前年比を見ればどこが問題か明らかにすることが出来ます。

たとえばミニバンの売上が落ちていれば『普通車希望ユーザーにはミニバンも訴求する』、『家族世帯にはミニバンを一番に押す』という風に営業方法も絞られてきます。そしてこれは営業方針が選定できたという点で、その企業の『問題解決』にあたるかもしれません。

このようにmeceはロジカルシンキングと合わせて様々なビジネスシーンで活躍してくれます。

またmeceはフレームワークを活用することで、もっと有効に利用することが出来ます。

meceのフレームワーク

フレームワークを使うとビジネスにおける様々な問題を、クリアにして解決しやすくしてくれます。

そしてmeceという考え方を用いる上でも、フレームワークを使うことでその効果を最大限に発揮することが出来ます。

たとえばそのひとつが『ロジックツリー』。

ロジックツリーは課題、そして解決策などといった要素をツリー、つまり枝葉のような構造で示してくれるものです。

たとえば上図のように『腰が痛い』という課題を設定します。

そうすると次はその腰痛の解決手段を模索します。ここでは『病院受診』と『接骨院へ通う』という要素を挙げてみました。

さらに病院と接骨院それぞれの治療手段を挙げてみます。

病院であれば『外来診療』、『外来リハビリへ通う』といった治療手段があります。

また接骨院へ通う場合は『柔道整復師に診てもらう』、『施術を受ける』といった治療手段も見つかります。

こんな感じでフレームワークであるロジックツリーを使うと課題が明らかになります。

次章では実際にビジネスに役立つmeceロジックツリーの使い方を、筆者の仕事と絡めながら紹介していきます。

meceを用いて具体例から考える

筆者が所属する介護施設サービスでMECEを適用したら

筆者は現在、地域医療を支える施設サービス、在宅医療といった分野で仕事をしています。

そんな医療福祉サービスを用いて、地域へどう貢献して、そのサービスをリーチしていけるかについて考えてみます。

まずは筆者が所属する組織の医療福祉サービスをロジックツリーに落とし込んでみました。

端的に列挙してみると『施設サービス』、『デイサービス』、『訪問看護ステーション』といった要素に分解できました。

ただこれだけだと、なんだかざっくりしています。

そこで今度はそれぞれのサービスを更に分解、具体化してみます。

提供できるサービスをmeceでわかりやすく例示する

前述した医療福祉サービスを更に具体化するとこんな感じになります。

筆者の属する組織の医療福祉サービス要素が、ロジックツリーにより具体化できました。

たとえば施設サービスにおいては『老人保健施設』と『ショートステイ』といったサービスを提供することが出来ます。

またデイサービスではデイケアといったサービスも兼ねていて、デイケアではリハビリ要素を多く利用者へ提供することが出来ます。

3つ目の要素である訪問看護ステーションでは、その名の通りの訪問看護のほか、自身のような理学療法士が訪問リハビリといった形でサービスを提供することも可能です。

このようにロジックツリーを用いることで、提供できるサービスが可視化され、属する組織がどのように地域の医療福祉へ貢献できるかが明らかになります。

ですがロジックツリーの効用はこれらに留まりません。

もう少し落としこめば、より組織の強みを活かしたアクションプランを作成することも可能になります。

mece分析で得た組織の強みでアクションプランを作る

筆者が属する組織が提供できる医療福祉サービス、それらによりどんなサービス形態で貢献できるかが明らかになってきました。

そこで今度は各要素が、結果として利用者やその家族へどような役割を担えるか。そしてその役割により一職員である筆者がどんなアクションを取れるか考えてみます。

ここでは施設サービス、そして老人保健施設にスポットを当てて分解してみます。

要素を分解すると老人保健施設の目的及び役割として

□ リハビリでの自立支援
□ 家族介護負担軽減
□ 今後の生活場所選び

といったものがあります。

老人保健施設を利用すると、利用者が今後も自宅で生活を続けるための自立支援や、自立して生活することが困難な場合における家族介助負担の軽減へつなげることが出来ます。

また老人保健施設での生活の中で、自宅へ帰っての生活自立が困難である場合には、終身施設を探すといった選択肢を考えることも可能です。

こんな感じで利用者、家族に対して貢献できる要素が分かれば

□ 自立支援に向けたリハビリ
 →身体機能障害や低下した動作能力を改善するためのトレーニングを実施。

□ 家族の介護負担軽減
 →自宅へ帰る際には家族への介助指導、福祉用具選定などの環境調整を実施。

□ 自宅へ帰るのが困難
 →終身施設選定を利用者、家族と共に考える。退所先の施設へ申し送り。

といった自身のアクションプランも明確になります。

ぜひmeceを活用して、会社や提供する商品やサービスの強みの把握、そして自身がどう行動するべきかといったアクションプラン策定なでへ役立てていきましょう。

meceをもっと活用するなら

知人とのコミュニケーションでも活かせるmece

さて、ここまででmeceを理解できた方なら、もっといろんな用途に使えます。

たとえば『知人とのコミュニケーション』。

meceは現状把握、問題抽出、解決策を考える際にその要素を抽出していきます。

その点で仲良くなりたい知人がいれば、まず下記のように現状把握。

□ 会うのは週1回
□ 共通の趣味は音楽
□ 同じ職種の仕事をしている。

そしてそれぞれ現状把握した要素に対して、問題点を抽出します。

たとえば『会うのは週1回』の問題点を抽出するなら、下記のようになります。

◆ 会うのは週1回
  →会えるのは週1回が限度

そして『会えるのは週1回が限度』であるならば、解決策は下記のようになります。

◆ 会えるのは週1回が限度
  →必ず週1回は声掛けしてご飯に行く
  →会えない期間は通話でコミュニケーション

このように以外と当たり前のように見えて、要素を抜き出して考えていくと、論理的に物事を進めるクセが付いてきます。

なのでmeceを普段のコミュニケーションなど、日常生活に取り入れてみても面白いかもしれません。

kpiを設定してmece分析に活かす

meceは他のマーケィング指標と合わせると更に効果を発揮してくれます。

そのひとつが『kpi』。

kpiはビジネス目標など、その進捗状況などを推し量るために需要な指標を指します。

たとえば企業であれば『売上』、『利益』、『キャッシュフロー』などがkpiとしてよく設定されます。

meceで思考を進めていく上でも、kpiに基づいた要素とからめながら考えていくと、より数値的な根拠に基づく考え方となり定量化にも役立ちます。

そんなkpiについても過去記事で紹介しています。

興味のある方はぜひご覧ください。

マーケティングなどビジネスマネジメントでも必要なkpiとは。

meceを身に付けて、仕事へ役立つロジカルシンキングを獲得しよう。