米国株は確定申告の外国税額控除で、配当金課税分の控除申請を。

株式損益通算を理解すれば、複数の証券口座管理や繰越損失への対応も可能です。

前回記事では株式損益通算の一般的な考え方について解説しました。今回は複数の証券口座管理や繰越損失の損益通算を理解について解説します。損益通算の理解をアップデートしましょう。

☆投資にはリスクが存在します。余裕資金と自己責任で取り組みましょう。

 目次

複数の証券口座と株式損益通算

株式損益通算のおさらい

前回記事に続いて損益通算の記事となりますが、少しおさらいです。

株式の譲渡益にかかる日本での税率は所得税と住民税合わせて20.315%。

特定口座(源泉徴収あり)では同一年度の損益通算は自動で実施してくれるということでしたね。

ただし、これは同一証券口座での話し。複数の証券口座をお持ちの方だと話が変わってきます。

証券口座ごとの損益を通算する

さて、ひとつ問題提起ですが複数の証券口座を持っていて、それぞれの各証券口座の損益を集計して損益通算できるのでしょうか。

答えはYesです。複数の証券口座を合わせて損益通算することは可能です。

A口座で損益合計がプラス、B口座で損益合計がマイナスなんて状況があっても、複数証券口座での損益通算が可能となると税金面ではありがたい話しですね。

複数証券口座の損益通算は要確定申告

なお複数の証券口座にまたがる損益通算は確定申告が必要です。

同一年度の特定口座(源泉徴収あり)ひとつであれば自動計算で損益通算してくれるのに対し、複数の証券口座にまたがる損益通算では自動計算が適用されないことを覚えておきましょう。

特定口座の確定申告の記載や入力には、特定口座年間取引報告書などで各証券口座の損益を確認する必要があります。時期が来たらお手元に用意しておきましょう。

株式損益通算と繰越損失

同一年度の損益通算と区別する

株式損益通算では同一年度のみならず、同一年度で控除しきれなかった損失を翌年へ繰り越すことも可能になります。

ただし注意点があり、損益通算の自動計算は特定口座(源泉徴収あり)での同一年度の取引のみになり、損失を翌年に繰越す場合の損益通算は確定申告が必要になります。

複数の証券口座保有となれば損益通算の自動計算がなされないように、複数年にまたがる損益通算においても損益通算の自動計算は適用されないことも覚えておきましょう。

3年間に渡って繰越損失が可能

株式の繰越損失に関しては翌年以降最大3年間に渡って損益通算が可能となります。この最大3年間の繰り越し損失に関して計算例を記載してみます。

これは令和3年度で控除しきれなかった譲渡損失100万円を、令和6年まで損失繰越した例になります。なお令和4年は譲渡益50万円、令和5年には譲渡益30万円、令和6年には譲渡益20万円が発生したという条件になります。

・令和3年の譲渡損益 -100万円
・令和4年の譲渡損益 +50万円
・令和5年の譲渡損益 +30万円
・令和6年の譲渡損益 +20万円

結論ですが、損益通算での相殺を適用して、令和6年における譲渡所得で課税対象になる分は0円です。

損失が発生した場合、翌年以降も株式売買をするなら損失繰越の存在も忘れず覚えておきましょう。

繰越損失の損益通算も要確定申告

繰越損失の損益通算適用には確定申告が必要になります。

なお繰越損失は翌年以降の最大3年間適用可能ということですが、一度の確定申告で3年間の適用を受けられるわけではありません。

最大3年間の繰り越し控除を適用するには、毎年の確定申告が必要であるということも覚えておきましょう。

株式投資をするなら確定申告を理解しよう

米国株なら外国税額控除も適用可能

今回は損益通算について紹介しましたが、株式投資には税金の理解は必須だと自身は考えています。

たとえば自身は米国株取引をしていますが、米国株の配当や分配金を受け取るときには外国税というものが徴収されます。

この外国税に関しては、確定申告で『外国税額控除』の適用を受けることができます。

外国税額控除に関しては過去記事でも紹介しています。よければ参考にしてみてください。

e-taxも上手に使おう

確定申告ならe-taxがオススメです。家から簡単に確定申告が可能になります。

e-tax利用にはマイナンバー方式やIDパスワード方式などがあります。ぞれぞれマイナンバーカードやIDパスワードの発行など事前準備が必要です。

いざ繰越損失のための確定申告となっても慌てることのないよう、申告時期が来る前に事前準備を進めておきましょう。