信用取引における空売りの貸株料、手数料などコストについて解説

前回記事では空売りの仕組みとやり方を解説しましたが、空売りには貸株料や手数料などコストがかかります。

空売りを始める前に、まずはコストを把握して、しっかりとパフォーマンスを上げられるよう準備しましょう。

☆ 投資にはリスクが存在します。余裕資金と自己責任の範囲内で実施するようお願いします。

 目次

信用空売り手数料と貸株料

SBI証券での空売り手数料

空売りには手数料がかかります。自身が使っているSBI証券だとスタンダードプラン、アクティブプランそれぞれの手数料は下記の通りです。

☆ スタンダードプラン
1注文の約定代金    手数料 
10万円まで     90円(税込み99円)
20万円まで     135円(税込み148円)
50万円まで     180円(税込み198円)
50万円超      350円(税込み385円)

☆ アクティブプラン

1日の約定代金合計額   手数料 
100万円まで       0円
200万円まで       877円(税込み964円)
以降100万円増加ごとに  400円(税込み440円)ずつ増加

なお、各プランともに手数料に関しては大口優遇制度が存在しており、条件達成で手数料が無料となることもあるようです。

一般と制度など信用売りの種類

信用売りには貸株料がかかりますが、その前に一般信用取引や制度信用取引の違いについて押さえておきましょう。

まず制度信用取引について。こちらは返済期限が6か月以内となり、空売りで借りた株を6か月以内に返却しなければなりません。

一般信用取引では無制限、短期、日計りといった期間設定が設けられています。SBI証券だと短期の空売りは15営業日で株を返却しなければならず、無制限と15営業日それぞれの返済期限で同一銘柄は存在しません。

日計りは空売りをした当日の大引けまでに返済をする必要がり、返済期間が1日ということも覚えておきましょう。

空売りと貸株料

次に一般信用取引と制度信用取引における、信用売りの貸株料について確認していきましょう。ここでもSBI証券の貸株料を参考に説明していきます。

まず制度信用取引の貸株料について。こちらは年利1.15%。

一般信用取引では無制限の貸株料は年利1.1%。短期では年利3.9%。日計りでは一日の約定代金100万円以上で無料、100万円未満で年利1.8%ですが、日計りで当日返済されなかった場合は約定代金にかかわらず年利1.8%の貸株料がかかることも覚えておきましょう。

なおSBI証券のHYPER空売りでは、HYPER料もかかってくるので注意しましょう。

その他の空売りコスト

信用売りと逆日歩

逆日歩とは信用売り残高が、信用買い残高を上回る状況が続くと発生するコストのひとつです。

逆日歩は制度信用取引にかかるコストであり、一般信用取引にはかかってきません。

計算例を出すと、一日一株あたりの逆日歩0.5円のとき、同銘柄を100株空売りした場合は、一日当たり50円の逆日歩が発生することとなり、保有日数の分だけ逆日歩が発生します。

制度信用取引では、必ず逆日歩が発生するわけではありませんが、信用売りと買いの残高の状況によってはそういたコストが発生することも覚えておきましょう。

信用売りと配当落調整金

信用売りでは配当落調整金といったコストがかかる場合もあります。

配当落調整金とは、空売りして配当権利確定日をまたいで保有した場合に発生するコストになります。

ちなみにSBI証券だと配当落調整金に係る料率は、制度信用で84.685%、一般信用で100%となっています。

配当のある銘柄で、配当権利確定日をまたぐ空売りを仕込む場合には注意しておきましょう。

空売りと管理費

最後に空売りにかかるコストとして、管理費といったものが存在することも覚えておきましょう。

SBI証券では信用売りや信用買い供に、信用新規建の建玉をを保有するとき、一か月ごとに1株あたり10銭(税込み11銭)の管理費がかかります。

保有期間によってはこんなコストが発生します。

空売りでパフォーマンスを出すために

コスト込みでの手残りを考える

下落場面でも利益を出せる空売りですが、前述したようにいろんなコストが発生します。

大切なのはコスト込みで、空売りから利益確定に至る際、どれだけ手元にお金が残るのかを把握しておかなければなりません。

手数料負けなど、せっかく利益が発生してもコストでマイナスとならないよう注意しましょう。

時期や期間設定も大切に

空売りを仕込む際には、時期や期間設定も大切です。

前述したように配当時期で利益確定日をまたぐと、配当落調整金が発生します。

また空売りして保有期間が伸びると、管理料の存在も忘れてはいけません。

このように時期や期間で発生する空売りコストも変わってくるので、しっかりその点を留意しておきましょう。