株式投資分析に役立つcagr(年平均成長率)を解説します

株式投資のファンダメンタルズ分析指標のひとつである【cagr】

今日はそんなcagrの意義、計算方法について詳しく解説していきます。

☆ 投資にはリスクが存在します。余裕資産と自己責任の負える範囲で検討しましょう。

目次

cagrについて知る

cagr:年間平均成長率とは

cagrとは「compound annual growth rate」の略語。読み方として「シーエージーアール」とそのまま読まれることが多いです。

ちなみに金融でいうところのcompoundとは「複利」。annualは「毎年の」などと訳されます。growth rateは「成長率」。

ということで、cagrは[年間平均成長率]とも言われています。

年間平均というと5年間の合計売上を5で割って表しそうですが、その計算方法はちょっと違います。

詳しくは後ほど紹介していきます。

cagrはファンダメンタルズ分析指標のひとつ

cagrで市場における売上年間平均成長率を計算する

cagrはファンダメンタルズ分析手法のひとつになります。

cagrでは企業の「売上」に基づき、任意の値を算出します。そして算出された値から、その企業の株価の「割安さ」「割高さ」を評価します。

それら割安、割高はcagrにおいては「成長率」が評価基準となります。

なおファンダメンタルズ分析のほか、株価評価にはテクニカル分析手法もあります。

過去記事ではテクニカル分析に関する手法について紹介しています。興味のある方は御覧ください。

【株のオシレーター分析MACDチャート指数計算や使い方とは。】

スクリーナー指標としてもcagrは使える

スクリーナーとはファンダメンタルズ分析やテクニカル分析を使って、自身の取引対象となる銘柄を抽出する方法です。

cagrはそんなスクリーナー指標のひとつとして、割安な銘柄を見つける際に活躍してくれます。

なおスクリーナーは指標単体のみではなく、複数の評価指標を使って銘柄を抽出するのが一般的です。

自身は今回紹介したcagrのほか、一株あたりの利益:epsから算出されるpegレシオもスクリーナー指標として分析しています。

pegレシオについては過去記事でも紹介しています。よければ確認してみてください。

【株価評価に必要なpegレシオの計算式とスクリーナーを解説。】

cagrを実際に計算してみよう

cagrの計算式を理解する

それでは実際にcagrの計算式について見ていきましょう。

cagrの計算式は下記の通り。

(N年度の売上 / 初年度の売上) ^ (1 / (N年 – 初年)) – 1

上記の計算式でcagrは算出されます。ちなみに市場における年間平均成長率の算出ということで、上記の計算式で算出された値に100を掛けて%表示で使われることもあります。

なお計算式から分かるように、N年度の売上の大きさによりcagrは30%だったり、15%だったりと様々な値を取ります。

この場合ではcagr = 30%のほうが、cagr = 15%の銘柄より成長率が高く、cagrのみの比較ではcagr = 30%の銘柄のほうが割安と考えられます。

エクセルでcagrを実際に計算してみる

今度は具体的な値を代入してcagrを実際に計算していきましょう。

今回はサンプル例として初年度売上1億円、5年目売上3億円の企業があったと仮定して、cagrを計算してみます。

cagr計算で市場における年間成長率を計算してみる

今回はN年度として5年目と仮定して、初年度の売上と5年目の売上をそれぞれ取得して、赤丸の部分のように式を代入しました。

カーソル部分のように、今回の計算式ではcagr = 0.316074という値が得られ、%表示では31.6%程度の年間成長率として算出されました。

こんな感じでcagrの式自体は簡単なので、電卓と紙とペンでも計算できますし、エクセルやスプレッドシートで計算するともっと楽です。

証券会社データやIR情報で簡単に計算できる

cagrは「初年度の売上」、「N年度の売上」を確認できれば、簡単に計算することができます。

それら売上情報の取得には様々な方法があります。

ひとつには証券会社から取得する方法。おそらくご利用中の証券会社から、業績データとして初年度からの売上推移などが確認できるはずです。

もうひとつは直接企業のIR情報から、売上情報を確認する方法です。

それぞれ自身が取得しやすい方法を使って、ぜひcagrを計算して活用してみてください。

cagrをもっと活用するために

perやpsrなど他指標と合わせて使う

cagrは先程のpegレシオもそうですが、単体で評価するより、他指標と合わせて活用すると効果的です。

cagrのほかに大切なファンダメンタルズ分析指標には「eps」や「psr」といった手法があります。

epsは企業利益と発行株式数から割安さを推し量り、そしてperの算出にも用いられます。また、psrは時価総額と売上げを使って割安さを分析する手法になります。

それら「eps」や「psr」などの計算方法や考え方について、過去記事でも取り上げています。

よければ確認してみてください。

【株価の指標となるepsとは。その意味や計算式について解説します。】

【株価売上倍率(psr)の分析方法について解説していきます。】

対象銘柄のニュースにも着目

cagrを分析手法として活用するなら、気を付けておくべきなのが対象銘柄のニュース。

cagrは[売上]を使って計算します。なのでその企業や業態、社会における需要などで売上げが大きく変わることもあり、そうなるとcagrの値も大きく変わってきます。

たとえば5年目までは売上を大きく伸ばしたのに、社会の状況によって6年目以降の売上が鈍化すれば、cagrの値も割高方向へと変化していきます。

ついつい数値のみを追ってしまいがちですが、売上に裏付けられるニュースなど、企業の業績推移と合わせてしっかり確認していきましょう。

cagrでの売上成長率評価で、対象銘柄の割安割高の評価へと役立てよう。