世界の商材の流通状況を推し量る『バルチック海運指数』。
バルチック海運指数を評価すると、その関連銘柄や世界経済の動向も見えていきます。
本記事ではそんなバルチック海運指数の見方、考え方について詳しく解説していきます。
☆投資にはリスクがあり成績を保証するものではありません。余裕資金と自己責任の範囲内で検討しましょう。
○ バルチック海運指数とは
○ バルチック海運指数の長期日足チャート
○ バルチック海運指数はリアルタイムで見れるのか
◇ バルチック海運指数を具体的に評価する
○ バルチック海運指数の関連銘柄
○ バルチック海運指数と経済
○ バルチック海運指数とccfi
◇ バルチック海運指数をもっと活用するなら
○ バルチック海運指数と指標
○ ファンダメンタル分析と併用してみる
○ 米国海運株の配当に着目するのも面白い
バルティック海運指数を知る
バルチック海運指数とは
バルチック海運指数は、ロンドンのバルチック海運取引所より発表される外航不定期船の運賃指数です。
正式名称は「The Baltic Dry Index=通称BDI」。
世界各国の海運会社や取引及び仲介業者から、鉄鉱石・石炭・穀物などの乾貨物(ドライカーゴ)を運ぶ外航不定期船の運賃を元に、収集したデータから一日1回算出しています。。
ちなみに基準は1985年1月4日を1000として算定しています。
その相対値として現代までバルチック海運指数は動いてきているというわけですね。
なお、株式市場でも不定期船を主力とする海運会社との株価連動性が高く、世界経済や商品価格の先行となる指標とされていることもあり、たびたび注目を集めています。
バルチック海運指数の長期日足チャート
バルチック海運指数は前述の通り、一日一回算出されています。
なので通常で閲覧できるのは日足チャートです。
長期チャートを見ると、日々その海運指数が騰落しているのが見て取れます。
なお、バルチック海運指数は誰でも簡単に確認することが可能です。
バルチック海運指数で検索すれば
□ ブルーブバーグ
□ 投資の森
□ Money Box
など、様々なウェブサイトから日足チャートによる騰落率を確認することが出来ます。
ぜひ、ご自身で一度検索してみてそのチャートを見てみてください。
バルチック海運指数はリアルタイムで見れるのか
様々なETFなど金融派生商品が飛び交う昨今。
バルチック海運指数はリアルタイムで見られるのか、といった疑問が湧くかもしれません。
自身もそんな疑問が湧いて、たとえばバルチック海運指数に近似して連動して、そして秒単位で動くようなETFを探してみました。
結局のところ、見つかりませんでした。
やはり一日一回算出されるという指数であるということから、秒単位でリアルタイム取引できるものはなかなか無いようです。
ですのでバルチック海運指数と元に投資を考えるなら、その関連銘柄を探したほうが早そうです。
次章ではそんなバルチック海運指数の具体的な評価方法などを解説していきます。
◇ バルチック海運指数を具体的に評価する
バルチック海運指数の関連銘柄
バルチック海運指数には、日本企業においても関連する上場企業銘柄があります。
ひとつは『海運会社』。
そしてもうひとつは『商船会社』などです。
ただし、注意点としてはバルチック海運指数とそれら企業の株価は必ずしも完全連動していません。
そんなバルチック海運指数と企業銘柄の連動を推し量るには、『相関係数』という指標を用いるのも一つの手です。
たとえばtradingviewというウェブサイトでは『BDI』というティッカーシンボルで、バルチック海運指数に近似する指標を確認することが出来ます。
そのBDIと企業銘柄の相関係数を推し量ることが出来れば、連動の程度も評価することが出来ます。
ちなみにトレーディングビューでの相関係数の見方については、過去記事でも紹介しています。
興味のある方はぜひご覧ください。
バルチック海運指数と経済
バルチック海運指数は前述の通り、鉄鉱石・石炭・穀物などの乾貨物(ドライカーゴ)を運ぶ外航不定期船の運賃から算出されます。
ここでもう少し踏み込んで考えると、その運賃は何によって決まるのかといった疑問が湧きます。
ちなみに筆者が調べた範囲では、世界経済の動向も踏まえつつ、その運賃は下記のような要素で決まるところもあるようです。
□ インフレなどによる需給のバランス
□ 世界における景気の動向
□ 港湾の停滞状況
たとえばインフレーションによる人件費、サービス価格の高騰は運賃にも転嫁されると考えられます。
また世界における景気の動向。世界全体として景気が活況であれば、各国間の商材の流通量も増え、その海運需要により運賃にも転嫁されると考えられます。
最後に港湾の停滞状況。昨今は人手不足により、アメリカなどでは平均を上回る賃金上昇率が認められました。最近ではやや落ち着いているものの、一時期は港湾業務においても人手不足が深刻化して、高い賃金を支払ってでも港湾業務を成立させるために運賃価格も高騰したといった現象も認められました。
このようにバルチック海運指数を決める運賃価格は、世界の経済と大きな関係があります。
バルチック海運指数とccfi
バルチック海運指数以外にも、『海運指数』は存在します。
たとえば『ccfi』。
ccfiの正式名称はChina Containerized Freight Index。
Chinaという単語から分かるように、こちらは中国輸出における運賃指数です。
人口も多く内需が旺盛な中国ということもあり、その運賃指数は世界の投資家やアナリストも日々注目しています。
ちなみにそんなccfiも検索すれば、大まかな長期チャートとその推移も確認することが出来ます。
バルチック海運指数やその関連銘柄に興味を持たれた方は、ccfiも合わせてチェックするようにしましょう。
◇ バルチック海運指数をもっと活用するなら
バルチック海運指数と指標
バルチック海運指数は前述のように、世界の経済や景気に影響を受けたり、逆に影響をもたらすことがあります。
そのためバルチック海運指数を評価するには、『経済指標』を確認していく必要があります。
たとえば関連する経済指標を並べると下記の通り。
□ 米国消費者物価指数 : 運賃価格と消費者物価の推移を見る
□ 米国雇用統計 : 人手不足、労働需給と運賃価格の推移を見る
□ 米国GDP : 経済成長と景気、運賃価格の推移を見る
これらもあくまで一例ですが、バルチック海運指数はいろんな経済指標と絡んで推移していくものと考えられます。
ちなみにこれら経済指標の見方については過去記事で紹介しています。
興味のある方はぜひご覧ください。
ファンダメンタル分析と併用してみる
バルチック海運指数と関連銘柄が見つかれば、もうひとつ覚えておくべきは『ファンダメンタルズ分析』。
関連銘柄と一口に言っても、それら企業間では経営の有り様には開きがあります。
たとえば昨今、上場企業の経営状況を推し量る指標として『EBITDA』といったものが用いられています。
EBITDAはM&Aを進めていく上で用いられることが多い指標ですが、その指標が参照する営業利益や減価償却費は企業評価をしていく上でも重要となります。
ちなみにそんなEBITDAの見方についても記事にしてみました。
企業の会計分析などを深堀りしたい方はぜひご覧ください。
米国海運株の配当に着目するのも面白い
バルチック海運指数を理解したら『米国海運株』を調べてみても面白いかもしれません。
アメリカ海運株を調べるならキャピタルゲインのほか、インカムゲインも見てみましょう。
インカムゲインとは『配当』のこと。
米国株も配当は四半期毎に出しているところも多く、配当情報を確認することはとても大切。
たとえば米国株の配当金がいつ入ってくるのかといったことも、任意のウェブサイトを使えば簡単に確認することが出来ます。
そこで今回、米国株の配当情報の調べ方を記事にしてみました。
興味のある方はぜひご覧ください。
バルチック海運指数の評価方法を身に付けて、投資のための企業分析や経済予測へ役立てよう。