【投資知識】投資で覚えておきたい長期国債金利と利回りとは。

『新NISA』など投資情報が出回る昨今。

覚えておきたいのが各種金融商品と関連している『長期金利』の知識。

本記事ではそんな長期金利と投資の考え方について、詳しく解説していきます。

☆投資にはリスクがあり成績を保証するものではありません。余裕資金と自己責任の範囲内で検討しましょう。

 目次

投資に必要な長期金利の知識とは

投資には長期国債の金利知識が必須 

投資には『株価』、『為替』、『商品先物』などいろんな金融商品があります。

それらと同じくらい大事なのが『長期国債の金利』。

長期国債は各国の政府が発行。

そしてそれを中央銀行が引き受け、その後で金融機関へ流通されます。

そのため金融機関は長期国債の利回りが収益源のひとつとなります。

また国債金利とその国債価格は反比例関係にあるため、利回りが上がると国債価格が下落し、国債保有者は含み損を抱えることもあります。

そのほか金融機関はそれら長期金利も指標のひとつとして、企業への貸出金のレートを決めるところもあります。

長期国債についてざっと説明するとこんな感じです。

そして長期国債でもとりわけ大きな影響力をもつのが、アメリカの長期国債とその金利です。

米10年国債長期金利はとても大切

前述したように各国ともに、予算確保のため長期や短期の国債を発行して、歳入を補いながら政策を実行していきます。

中でも影響力の大きいのが『米国の長期国債金利』。

アメリカの長期国債利回りとも呼ばれることがあり、意味はほぼ同義です。

なぜ、米国の長期金利が注目されるのかと言えば『米ドル』の存在があります。

米ドルは様々な決済に使われる『基軸通貨』として流通しています。

そのため米ドルは、各国で輸入などのための外貨需要が一定数存在します。

そしてUSドルの強さは国債金利との関連もあり、マーケット参加者は常に注視しています。

そういった理由もあり、『FOMC』といった金利政策決定会合やFRB議長発言はとても注目されています。

覚えておくべき日銀yccと長期国債金利とは

もうひとつ日本人なら注目すべきなのが『日本の長期国債金利』。

日本の長期国債も日本政府が発行。

そして日本銀行が引き受けて、金融機関を介して市場で流通されます。

そんな日本長期国債も、日々その価格や利回りも変動しています。

2024年においても日本の長期国債で注目されているのが、日本銀行のycc施策。

yccとはYield curve control(イールドカーブコントロール)の略であり、端的に言えば利回りの管理となります。

2023年にはyccを1%まで許容したり、その管理上限には変化が見られています。

合わせて2024年3月現在、yccのほか『マイナス金利政策解除』か否かなど、緩和の方向性を市場関係者は注視しています。

とりわけ長期国債金利は政府の借金、企業への貸出金利などにも影響するため、国や企業の負債にも関わってきます。

なので投資にはアメリカ、日本のみならず、各国の長期国債金利の知識が必要になってきます。

長期金利と関連するもの

アメリカ長期国債金利とドル円為替

前述したように米国長期国債金利とドル円為替レートに関係してきます。

その理由のひとつが『スワップ』。

たとえば外国証拠金取引では金利の高い通貨を買い、金利の低い通貨を売るといったポジションを取ることが出来ます。

その際、金利差によりスワップという利益を得ることがあります。

たとえば2024年3月15日のマーケット終値に着目してみます。すると

◇ 米国10年債先物利回り 4.310%
◇ 日本10年債先物利回り 0.783%

となっており、3.5%以上の金利差が発生しています。

そのためスワップを選好する投資家は、米国長期国債利回りが上がるとドル買いポジションを取りやすくなります。

結果としてドル需要が上がり、ドル高円安方向へ向かうことがあります。

そして長期国債利回りの影響は為替にとどまらず、株価にも影響してきます。

長期国債利回りと株価 

株式投資家も長期国債利回りの存在に注目しています。

それは『益利回り率』の存在があるからです。

株価における益利回り率は『PERの逆数』で算出されます。

たとえばPER25の銘柄であれば

4% = 100 ÷ 25

となります。

株価と債券に注目する投資家は、長期国債利回りと株価益利回り率を比較します。

たとえば米国国債利回りと米国株を比較するならば、国債のほうがリスクはやや低めと判断されることがあります。

そのため長期国債利回りが上昇したとき、株価益利回り率を超えていくならば、株を売って長期国債を買うといったアロケーションも行うことがあります。

なので長期国債利回りを注視し、株価とりわけインデックス指標なども確認する必要があります。

外貨預金と長期国債金利

もうひとつ覚えておくべきなのが『長期国債金利と外貨預金』。

2024年現在、みなさんご存じですが日本だと普通預金にはほとんど利息がつきません。

定期預金にしても0.5%すら、利息のつかないところが多いです。

そしてそれら預金利息は長期国債金利。

くわえてその金利に関連する、その国の金利政策により変わってきます。

そのため、最近では金利の高い外貨による外貨預金がよく広告され、話題になっています。

たとえばドル建ての外貨預金で年利5%程度のものも出てきました。

日本の金利、預金利息だけを見ず、世界の金利や国債利回りを見ると選択肢が増えてきます。

投資には為替、株価のみならず、預金に注目してみても良いかもしれませんね。

さて、それでは最後に長期国債利回りと注意点についてまとめていきます。

長期金利の確認方法と注意点

米国長期金利をリアルタイムで確認するには 

米国債の長期金利は、先物を通してリアルタイムで確認することができます。

ちなみに自身は情報サイト『トレーディングビュー』様より、情報を取得させていただいています。

たとえば『アメリカ国債10年もの利回り』は下記URLより確認することが出来ます。

『米国債10年利回り』はこちら。

リンク先では日足のほか、30分単位や週単位でのレンジで利回り騰落率を確認することが出来ます。

前述したように長期国債利回り、そして為替や株価との関連を同時に確認してみるのも面白いかもしれませんね。

また、平日は日々『経済指標』が発表されています。

たとえば経済指標の物価指数で予想よりインフレが高止まりしていれば、市場関係者は『金利高止まりで引き締め長期化か』なんて予想されることもります。

なので、長期国債利回りのみでなく、経済指標も合わせてその騰落率を確認していくことが大切になります。

日本長期金利をリアルタイムで確認するには 

ちなみに『日本の長期国債利回り』も、先物を通して確認することができます。

こちらもtradingview様より、情報を取得させていただいています。

『日本国債10年利回り先物』はこちら

日本の長期国債利回りのチェックポイントを2つ挙げるとしたら、『ycc』と『日米金利差』があります。

yccは先ほど説明したように、長期国債利回り上限をどこにするのかといったところが着目点です。

なので金利政策、日銀総裁の発言は要チェックです。

そして日米金利差は為替に影響を与えることがあります。スワップポイントの存在もありますからね。

こちらも米国長期債利回り、日本長期債利回りを比較して、その金利差を見ていくことが大切になります。

金利以外に為替変動には要注意 

さて、最後に注意喚起として触れておきたいのが『為替変動』。

先ほど外貨建て預金の金利について言及しましたが、為替により円建て換算で目減りすることがあります。

たとえばドル円150円で100ドルの外貨預金をすれば、円建て換算では15000円。

これがもしドル円140円まで円高ドル安となれば、円建て換算では14000円の価値となり、1000円ほど価値が減ってしまうことになります。

これだともし年利5%取得できたとしても、目減り額のほうが大きくなってしまいます。

そしてこれはあくまでドル円の話ですが、他の外貨預金においても為替変動による円建て換算の目減りリスクが存在します。

ということで、長期国債利回りや金利に着目し、外貨預金を検討する際には注意しておきましょう。