投資信託の分配金や株の配当金の再投資と複利効果について解説。

       

投資効果を発揮するには『再投資と複利効果』を理解するのが大切。

配当や分配金の再投資、そして複利効果や積立投資と組み合わせると違ったパフォーマンスが見えてきます。

本記事ではそんな再投資、複利効果の計算方法やパフォーマンスについて詳しく解説していきます。

☆ 投資にはリスクが存在します。自己責任と余裕資金での検討をお願いします。

目次

分配金や配当の再投資効果について知る

積立nisaなどのパフォーマンスを上げる再投資

投資で利益をもたらすものには、大きく分けて2つの要素があります。

ひとつは『値上がり益』。こちらは『キャピタルゲイン』とも呼ばれ資本それ自体の値上がりよる利益を指します。

もうひとつは『配当もしくは分配金』。こちらは『インカムゲイン』とも呼ばれ、定期的な配当もしくは分配金による利益を指します。

今回紹介するのはこの『配当もしくは分配金』を再投資することによる投資効果。

とりわけ積み立てニーサのような長期投資では、パフォーマンスが大きく変わってきます。まずはその理由について確認していきましょう。

再投資には複利効果の理解が大切

インデックス株式投資で役立つエクセルでの複利の計算方法とは。

つみたてnisaなどの『再投資』でパフォーマンスを上げていくには『複利効果』の理解が大切。

投資における利回りでは『単利』と『複利』といったパターンが存在します。

単利とは年間利益で増えた分だけ取り崩し、投資元本を変えずに得られる利回りです。

いっぽう複利では投資で得られた利益を取り崩さずに、投資元本へ加えながら投資を継続することで得られるリターンになります。

簡単に例を示すと年利4%の場合

単利10年後の損益率 = (1+(0.04 × 10)) ×100 = 140%

複利10年後の損益率 = (1.04 ^ 10) × 100 ≒ 148%

という風に年利4%でも、単利と複利ではパフォーマンスが変わってきます。

そしてこの『複利効果』に加えて、『再投資』により年利を引き上げることで、さらに投資パフォーマンスを引き上げることができます。

複利経験については、エクセルやスプレッドシートで簡単に計算する方法について過去記事で紹介しています。

興味のある方はぜひご覧ください。

インデックス株式投資で役立つエクセルでの複利の計算方法とは。

楽天証券などで再投資型と受取型を選べる

楽天証券などのインデックス投資信託や積立nisaでは、『再投資型』や『受取型』という風に投資手法を選ぶことができます。

投資信託では再投資型を選択すると、分配金が発生した際に自動で再投資を行ってくれるものもあります。

自動で再投資を実施してくれると、手動でする手間が省けるのが便利です。分配金なしでも構わないなら選択肢のひとつになります。

ちなみにSBI証券における投資信託においても、自動で再投資を実施してくれるものもあります。

そのほか上場投資信託「ETF」における自動での再投資型について調べてみましたが、こちらは基本的に手動で再投資する必要があるようです。

さて、ここまでで再投資の概要をつかんだところで、エクセルを使って複利効果を用いた再投資型のパフォーマンスについて比較検討してみましょう。

キャピタルゲインのみと再投資型を比較計算する

エクセルで簡単に出来る複利計算

エクセルもしくはgoogleスプレッドシートを用いると簡単に複利計算をすることができます。

複利計算に必要なデータはこれだけです。

・投資元本  (例:40万円)
・値上がり益 (例:4%)
・分配金   (例:年間1%)

これらデータがあれば、複利計算そして再投資におけるパフォーマンスを比較することが可能です。

今日はこれら投資元本、利回りで実際に計算していきます。

値上がり益のみの複利計算

まずは投資元本を40万円。そして1年間で4%の値上がり益(キャピタルゲイン)が発生した場合の資産推移です。

値上がり益のみの複利計算

10年後の利益率は148%。利益額は192098円になりました。

この複利計算は簡単です。上記のようにセルA1は投資元本400000円を入力。

値上がり益を4%で計算するため、セルB1へ1.04と入力。そしてセルC1で『=A1*B1』と入力します。

次はC2へ『C1×B$1』と入力して、C10までコピーすれば値上がり益のみの複利計算シートの完成です。

値上がり益のみの複利計算で絶対参照を使う

なお年利回りと固定とするため、B1の間に$をつけて絶対参照するようにしてください。

分配金や配当を再投資した時の複利計算

次は投資信託の分配金や株式の配当を再投資したときの複利計算の方法です。

やり方は簡単です。年間配当や分配金の利率を加えて、複利計算するだけです。

たとえば値上がり益4%、配当1%であるならば、年利回り5%で複利計算します。先ほどのシートに数値と計算式を追加してみました。

値上がり益と再投資の複利計算

まずB5へ値上がり益+分配金の利回りとして1.05と入力。

そしてD1へ『=A1*B5』と入力します。後はD2へ『=D1*B$5』と入力して、D10まで計算式をコピーすると再投資における複利計算の完成です。

値上がり益と再投資の複利計算で絶対参照を使う

この場合は利益率163%、利益額251558円ととなりました。たった1%の分配金でも、再投資することでパフォーマンスが大きく変わることが確認できました。

では最後にいよいよ本題。積立nisaなどを想定した『積み立て』+『値上がり益(キャピタルゲイン)』+『再投資』の計算式を作ってみます。

再投資+積立投資のパフォーマンスを知る

値上がり益のみ+積立投資の複利計算

積立ニーサを想定して、下記の条件で試算してみます。

・投資元本  (例:40万円)
・積み立て  (年間40万円)
・値上がり益 (例:4%)
・分配金   (例:年間1%)

『値上がり益』や『投資元本』のみで運用した例です。投資信託の分配金は再投資せず、生活費に充てる場合などはこちらになります。

先ほどのシートへ計算式を追加していきます。まずはE1へ『=A1*B1』と入力します。

値上がり益と再投資と積み立て複利計算する

次はE2へ『=(E1+400000)*B$1』と入力。そしてE10まで計算式をコピーします。

値上がり益と再投資と積み立て複利計算と絶対参照する

これで投資元本40万円、値上がり益4%で毎年40万円積み立てした場合の10年後の資産が算出されました。

積み立てしないときと比較すると、利益率は125%と劣りますが、積立による投資元本増加もあり利益額は994541円と勝っています。

ではいよいよ本題『積み立て』+『再投資』+『複利効果』でどうなるか見ていきましょう。

再投資+積立投資の複利計算

『積み立て』+『再投資』+『複利効果』を試算するために、先ほどのシートへ追加していきます。

今回は値上がり益(キャピタルゲイン)+分配金及び配当で利回りを計算するので、4%+1%で5%の利回りで計算していきます。

なのでまずはF1へ『=A1*B5』と入力。

値上がり益と再投資と積み立て複利計算してみた

そしてF2へ『=(F1+400000)*B$5』と入力して、F10までコピーします。

値上がり益と再投資と積み立て複利計算してみた絶対参照加えてみた

これで『積み立て』+『再投資』+『複利効果』における利益率と利益額が算出されます。

こちらも積み立てしないときと比較すると、利益率は132%と劣りますが、積立による投資元本増加により利益額は1282715円と勝っています。

こんな感じでわずかな分配金や配当でも、再投資するとパフォーマンスは変わってきます。積立投資など長期運用を考えるなら、こんな再投資も選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

再投資のパフォーマンスを理解して、今後の資産運用について検討してみよう。