株の信用取り引き残高、買い残や売り残について解説します。

株の信用取り引き残高、買い残や売り残について解説します。
       

前回記事では『空売りの仕組みとやり方』『空売りのかかる手数料などコスト』について解説しました。

そして空売りなど信用取り引きを学んだら、覚えておきたいのが信用取り引き残高。

信用売り残や買い残、取組倍率などの見方について詳しく紹介していきます。

目次

信用取り引き残高とは

信用買いや売りの残高を示す

信用取り引き残高とは、その名の通り信用買いや信用売りの残高を示すものです。

具体的には、信用買いや信用売りの数量がどれだけ入っているか。先週と比較して、それぞれ信用売りや信用買いがどれだけ増減したかといった残高を提示してくれます。

このように信用取り引き残高表は、現在の信用取り引きの残高と推移を教えてくれるものになります。

銘柄別に信用取引残高を見る

自身はSBI証券を使っていますが、各証券会社ではこんな感じで各銘柄の信用取り引き残高表を確認することができます。

前述したように、信用売りや信用買いの残高や推移、そして貸借倍率なども教えてくれます

これらデータは営業日毎に更新されているので、各銘柄を分析するとのツールのひとつとして投資家の間で利用されています。

信用売り残や買い残が利益確定されると

信用売りや信用買い。それぞれのポジションが利益確定もしくは損失確定すると、上記の信用取り引き残高はどのようになるのでしょうか。

利益確定のために反対売買されると、それぞれのポジションは減少を示します。

具体的には空売りを利益確定すると信用売り残は減り、信用買いを利益確定してすると信用買い残はそれぞれ減少します。

信用取り引き残高の簡単な仕組みを理解したところで、今度は解釈にも挑戦してみましょう。

信用取引残高の解釈

信用売り残高が増える

信用売り、いわゆる空売りが増えるとはどのような解釈が出来るのでしょうか。

ひとつは任意の銘柄の株価下落を、一定数の投資家が期待しているということがいえるかもしれません。投資家はファンダメンタルズ分析やテクニカル分析を用いて、株価の騰落を予想しています。

具体的には株価下落場面でも利益を出したい投資家が、それぞれの分析手法で任意の銘柄の株価下落を予測したとき、信用売り残が増える要素のひとつとなります。

なお、信用売り残高が増える=株価下落が続くかといえば、そうとも限りません。

信用売りポジションはいつか買い戻さなければなりません。そのときの買戻しが買い圧力となり、株価へ反映されることとなります。

信用買い残高が増える

信用買い残高が増えた場合には、信用売りとは反対の解釈が出来ることになります。

信用買い残高が増える要素のひとつとして、一定数の投資家が、任意の銘柄の株価の値上がり期待を持っているということが挙げられます。

また、信用買いポジションも信用売り同様にいつかは反対売買を行わなければなりません。

信用買い残高の増加は値上がり期待のみを示唆するものではなく、いつかの反対売買で売り圧力となって株価へ反映されることも覚えておきましょう。

信用売り買い残高取組倍率とは

信用買い残と信用売り残の比率を示した、取組倍率に注目するのも面白いかもしれません。

取組倍率の計算式は下記の通りです。

取組倍率 = 信用買い残 ÷ 信用売り残

たとえば信用買い残が10000、信用売り残が5000のとき取組倍率は2.0になります。

その後、同銘柄で信用買い残が9000へ減少し、信用売り残が6000へと増加した場合、取組倍率は1.5となります。

取組倍率にもまた市場心理が織り込まれているので、銘柄分析の検討要素としてみるのも良いでしょう。

信用取引残高は目安のひとつ

現物チャートと合わせて評価しよう

ここまで信用取り引き残高の解釈の仕方について解説してきましたが、あくまでも信用取り引き残高は目安のひとつとして使うようにしましょう。

なんといっても大切なのは現物のチャート。結局は信用取り引きのポジションもまた、現物チャートに織り込まれているといっても過言ではありません。

信用取り引き残高は上手に使って、判断基準のひとつくらいで考えておきましょう。

反対売買までを視野に入れよう

前述したように、信用取り引き残高を研究するときは反対売買までは視野に入れなければなりません。

信用取り引きはいずれ反対売買で決済されるもの。いつまでも信用売りや信用買いのポジションで留まり続けられるものではありません。

信用売りや信用買い、それぞれが買い戻したり売ったりしたとき、株価へどう反映されるのかまではセットで考えるように心がけておきましょう。