金融用語解説。株価ニュースでよく聞くテーパリングの意味とは。

金融用語解説。株価ニュースでよく聞くテーパリングの意味とは。
       

最近のマーケットニュースよく聞く『テーパリング』。

経済用語の意味を正しく理解して、今後の投資に役立てましょう。

☆ 投資にはリスクが存在します。余裕資金と自己責任の許容範囲内で検討しましょう。

 目次

テーパリングとは

テーパリングは縮小を意味する

テーパリングのスペルは『tapering』であり、taperは『先細る』『次第に少なくなる』といった意味を表します。

金融用語におけるテーパリングの意訳は、『金融資産買い入れの縮小』といった意味でよく使われます。

金融資産買い入れの縮小とは何なのか。詳細を確認していきましょう。

金融買い入れ縮小≠金融縮小

テーパリングの主体は各国中央銀行。たとえば日銀、アメリカならFRBなどが主体となります。

現在は2021年5月ですが、ここから1年振り返ると日本やアメリカは金融緩和政策と取り、資産を買い入れることで市場へ資金供給量を増やしていきました。

テーパリングは金融買い入れ縮小とは、資産買い入れ額を徐々に減少させ、市場への資金供給量を減らすといった施策になります。

なので中央銀行の資産買い入れは継続しているので、テーパリングと金融縮小はイコールではありません。区別して覚えておきましょう。

金融緩和と縮小について

テーパリング後には利上げなど金融縮小政策も考えられるので、ここで金融緩和と金融縮小の違いについて確認していきましょう。

前述の通り金融緩和では資産買い入れにより、市場への資金供給量が増えます。

たとえば資金需要が変わらず、資金供給量が増えた場合、貸し付ける金融機関としては資金を寝かせておくのを好まないため、低金利でも貸し出そうとします。投資家はそういった状況を受け、低金利でお金を借りて、支払金利を上回るパフォーマンスを得られる金融資産の買い入れを実施することが類推されます。

金融縮小では逆の動きになります。資金需要が変化なく、資金供給量が減ると、金利が高くとも資金を借り入れたい投資家が出てきます。しかし金利が高くなりすぎると、支払金利を超えるパフォーマンスを出す金融商品も限定的なものとなり、金融商品への投資もし難くなることが類推されます。

上記はマクロ経済のひとつの理論になります。必ずしも上記の状況になるとも限りませんが、未来予測のひとつの形として頭に留めておきましょう。

テーパリングと株価

FRBによるテーパリング

実際にテーパリングが実施されたとき、株価はどうなったのかといった歴史を紐解いていきましょう。

いろいろ勉強していると、2014年1月から同年10月までFRBによるテーパリングが実施されてとのこと。

FRBの施策ということで米国株を選定。個別銘柄は少し難しいので、2014年初来から2014年10月末までのS&P500指数の騰落率を調べてみました。

テーパリング時期と株価

代表指数としてSPXを選びました。

同指数では2013年12月31日の終値が1848.36、2014年10月31日の終値は2018.05であり、この期間における騰落率は9.18%の上昇となりました。

SPXチャートより

出典:TradingView.SPXチャート.TradingView.2021/6/1

あくまでテーパリングは一つの要素

金融における『縮小』の意味を持つteperingですが、S&P500指数での株価においては2014年実施時での騰落率は上昇で終えていました。

ただし油断は禁物。過去の履歴がにおけるテーパリングと株価の上昇は、それが今度も起きることを必ずしも保証するわけではありません。

これからもマーケットニュースではたびたびテーパリングという言葉を耳にすることとなりますが、その都度しっかり株価は確認するようにしましょう。

自身の資産を守るために

日銀も実施するテーパリング

テーパリングは各中央銀行が主体となるため、もちろん日銀も実施することがあります。

日本銀行のETF買い入れ額などに関しては、日本銀行のホームページでexcelデータとして公開してくれています。

最近は日経平均が30000円を超えず、上値の重い展開が続いていますが、ステルスにテーパリングが実施されていないか注目されるところです。

マクロ経済を学ぶ

今回はテーパリングをテーマとして、金融用語や過去の株価の動きについて解説しました。

自身の投資歴も長くなってきましたが、株投資でパフォーマンスを出していくためには、マクロ経済を学んでマーケットニュースで確認するといった作業の大切さを実感することがあります。

好きな企業とその個別銘柄だけを見て、株式投資でパフォーマンスを出し続けることは困難です。しっかり経済学や金融商品を学んで、投資の判断材料を増やしていきましょう。