【投資家必須】経営活動評価のためのキャッシュフローの考え方とは。

【投資家必須】経営活動評価のためのキャッシュフローの考え方とは。
       

投資家なら理解しておくべき『キャッシュフロー計算書』。

本記事で決算毎に発表されるキャッシュフロー計算書の見方を理解して、投資におけるファンダメンルズ分析手法を身に付けましょう。

本記事は投資成績を保証するものではありません。投資の際はご自身の余裕資産、自己責任でご検討ください。

 目次

キャッシュフローを知る

キャッシュフロー計算書とは

キャッシュフロー計算書はcash flowと称されるように、簡単に言えばお金の流れを意味する経営資料のひとつ。

資産や負債、資本などを記載した貸借対照表、売上や費用を記載した損益計算書と共に、キャッシュフロー計算書は経営資料としてよく注目されます。

キャッシュの流れは

□ キャッシュイン    (収入)
□ キャッシュアウト(支出)

で分けて考えられ、その資金の流れをキャッシュフロー計算書で表します。

そして手元資金をどれくらい保有しているかなど、会計や経営における財務健全性などを推し量る指標としても用いられます。

さて、そんなキャッシュフロー計算書ですが、どのような機会によく確認するものなのでしょうか。

上場企業で義務付けられるキャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書は、上場企業の決算発表における決算書類としてよく確認される資料です。

なぜならばキャッシュフロー計算書は、上場企業においてその作成が義務付けられているためです。

なので投資家はその会社のウェブサイトなどから、IR項目よりキャッシュフロー計算書を確認してその企業価値を日々推し量る作業をしています。

前述したように企業の売上、利益などを推し量る資料には損益計算書などがありますが、そこだけを見ていては企業価値を詳細に把握することはできません。

たとえば同じような売上、利益を上げている企業であっても、キャッシュフロー計算書の内訳が大きく違っていたりすることもしばしば。

同等の売上、利益を上げている企業同士を比較する場合、キャッシュフロー計算書を確認してみれば、手元資金が多く支払い能力の高いほうが財務健全性が高いと考えることも出来ます。

そのような意味でキャッシュフロー計算書は、決算発表毎にその推移をよく評価されます。

ちなみにそんなキャッシュフロー計算書ですが、その項目はいくつかに分けられます。

良い将来価値があるかをキャッシュフローで評価するには

キャッシュフロー計算書で企業の将来価値を評価するには、各項目を理解する必要があります。

まずキャッシュフロー項目として確認しておくべきなのが

□ 営業活動によるキャッシュフロー
□ 投資活動によるキャッシュフロー
□ 財務活動によるキャッシュフロー

の3点です。

キャッシュフローには、活動内容により異なる動きがあります。

またこれら項目を更に計算して企業が自由に使えるという意味の『フリーキャッシュフロー』といったものも注目されています。

このように、ひとくちにキャッシュフローといっても意味合いは様々です。

次章ではそれら項目の詳細な読み解き方について確認していきましょう。

キャッシュフロー各項目の意味を理解する

営業活動によるキャッシュフローとは

営業活動によるキャッシュフロー計算書の項目には以下のようなものがあります。

□ 税金等調整前当期純利益 
□ 減価償却費
□ のれん償却額
□ 減損損失
□ 受取利息及び受取配当金
□ 売上債権の増減額
□ 棚卸資産の増減額
□ 仕入債務の増減額

たとえばこの中では『税金等調整前当期純利益 』は、そのまま営業活動によるキャッシュフローへプラスに働きます。

このように営業活動によるキャッシュフロー計算書には様々な項目があり、それぞれの増減額などを合計することで、営業活動によるキュッシュフロー合計金額が決まります。

営業活動によるキャッシュフロー合計金額がプラスであれば、その事業における営業活動が上手く進んでいるといった解釈が出来ます。

その読み解き方としては2021年と2022年を比較する、もしくは四半期毎の推移を確認するといった利用法があります。

投資活動によるキャッシュフローとは

投資活動によるキャッシュフロー計算書の項目には以下のようなものがあります。

□ 有価証券の取得
□ 有価証券の売却・償還
□ 固定資産の購入
□ 固定資産の売却
□ 貸付け
□ 貸付金の回収

たとえば『固定資産の購入』はマイナス。『固定資産の売却』はプラスに働きます。

とりわけ成長段階におけるグロース企業では、その成長に向けた設備投資により『投資活動によるキャッシュフロー』はマイナスを示すこともあります。

できることなら潤沢に持っていてほしいキャッシュ。

ですが企業の段階、そして投資活動でのキャッシュフローではマイナスを示すことも考慮に入れつつ、営業活動のキャッシュフローと合わせてその財務体質を鑑みるようにしましょう。

財務活動によるキャッシュフローとは

3点目に覚えておきたいのが『財務活動によるキャッシュフロー』。

財務活動によるキャッシュフローの項目は以下の通り。

□ 短期借入金の純増減額
□ 長期借入金の返済
□ 社債の発行
□ 社債の償還
□ 自己株式の取得
□ 自己株式の売却
□ 配当金の支払

このように企業の財務状況を提示くれているのが財務活動によるキャッシュフローです。

ご覧いただくと分かるように銀行との借入金の取引や、社債や株式など証券市場での活動がこちらに反映されます。

ここまでで概ねのキャッシュフロー項目が理解できました。

最後にフリーキャッシュフローについても確認しておきましょう。

もっと決算資料を読み解くために

フリーキャッシュフローとは

フリーキャッシュフローとはその名の通り、その会社が自由に使用できる資金を指します。

英語ではfree cash flow。その読み方として『FCF』と呼ばれたりします。

そんなフリーキャッシュフローですが、その金額は以下の簡便式が用いられます。

FCF = 『営業活動によるキャッシュフロー』 ー『投資活動によるキャッシュフロー』

つまり営業活動で得た資金を、投資活動で使用された資金を差し引き、残った資金がフリーキャッシュフローとなります。

フリーキャッシュフローの用途は株主配当金、借入金の返済など様々。

そんな自由に使えるフリーキャッシュフローも、運転資金や資金繰りの健全性を鑑みる意味でも評価するよう心がけましょう。

最後にキャッシュフローと合わせて評価すべきファンダメンタルズ分析について触れておきます。

その他ファンダメンタルズ分析指標を理解する

たとえば企業成長を推し量るのに大切なのが『売上』とその『成長率』。

そんな売上成長率を推し量るファンダメンタルズ指標に『CAGR』といった指標があります。

CAGRは累乗根から逆算して、その企業における毎年の売上成長率などを導出することが出来ます。

また累乗根から導出することで、年次ごとの振れ幅を抑えた成長率を鑑みることが出来ます。

今後の成長企業を見つけていくために、キャッシュフロー計算書と合わせてCAGRも理解しておくと良いでしょう。

そんなCAGRについても過去記事でその計算方法、考え方について紹介しています。

興味のある方はぜひご覧ください。

株式投資分析に役立つcagr(年平均成長率)を解説します。

キャッシュフロー計算書の読み方を理解して、投資に役立てよう。