2023年4月より始まる『デジタル給与払い』制度。
同制度により賃金受取方法に電子マネー、〇〇payなど決済アプリが選択肢として入るようになります。
本記事ではそんなデジタル給与払いの仕組み、長所や短所に関して詳細に説明していきます。
○ デジタル給与払いとは
○ 厚生労働省が提示するデジタル給与
○ デジタル給与で賃金受取の選択肢が増える
◇ デジタル給与払いの今後と注意点とは
○ デジタル給与払い移行への流れ
○ デジタル給与に関する注意点
○ 使用者と労働者双方に役立つQ&A
◇ これからも知っておくべき年収と給与の仕組み
○ 職業別平均年収を知り転職目標を考える
○ 知っておくべき給与の手取りと社会保険料
新しい賃金支払い方法であるデジタル給与払い
デジタル給与払いとは
デジタル給与払いとは電子マネーや決済アプリで賃金が支払われる、新しい給与の支払い方の仕組みを指します。
たとえば決済アプリでは『〇〇pay』といったものなどを指します。
従来では給与支払いといえば『銀行振り込み』が主流でしたが、時代の流れもありこういったデジタル給与払いといったものが出てきました。
とりわけ『〇〇pay』など決済手段の多様化が進む昨今、それら決済手段に即したデジタル給与の支払い方法が出てくるのも自然な流れともいえます。
ちなみにデジタル給与払いを推進しているのは『厚生労働省』。
本記事執筆時における2023年4月時点においても、厚生労働省は期限を設定しながらデジタル給与払い制度の移行を進めています。
次章ではその取り組みについて見ていきましょう。
厚生労働省が提示するデジタル給与
厚生労働省では2023年4月から施行されるデジタル給与制度に関して、専用ページで賃金のデジタル給与支払いに関する周知を進めています。
上図の通りデジタル給与払い専用ページでは
◆ 趣旨・概要
◆ 法令・通達等
◆ よくある質問への回答(労働者、使用者向け)
◆ 周知用資料
◆ 指定資金移動業者一覧
◆ 相談・申請先等
といった項目について、詳細な内容を提示してくれています。
2023年4月時点ではまず資金移動業者の審査が進められている段階です。
ところでこの『デジタル給与支払い』。どういったメリットやデメリットがあるのでしょうか。
デジタル給与で賃金受取の選択肢が増える
まずデジタル給与支払いのメリットとして挙げられるのが『賃金受取の選択肢が増える』こと。
前述したように決済手段の多様化が進む現代ですが、電子マネーや〇〇payなどで賃金を直接受け取り、そのまま買い物などで使うことが出来ればとても便利です。
また賃金を受け取る側が任意の銀行口座を持っていなくても、それら電子マネーや〇〇payといった決済手段で、給与を受け取ることが出来るといった選択肢も考えられます。
逆にデメリットを考えるなら、通常の賃金支払いと共に平行した運用が必要となること。
これはデジタル給与を支払う使用者側に関することですが、これまで通りの銀行振り込み、そしてこれからのデジタル給与支払いの双方の運用が必要となる可能性があります。
なのでどれくらいデジタル賃金を支払う側が、どれくらい事務負担が増えるのかといった点も注視していく必要があります。
さて、ここまでデジタル給与支払いに関するメリットとデメリットが出揃ってきたところで、その移行までの流れや注意点についても見ていきましょう。
デジタル給与払いの今後と注意点とは
デジタル給与払い移行への流れ
デジタル給与支払い移行に関する流れは、厚生労働省がリーフレットを作成して詳しく提示してくれています。
出典:厚生労働省 賃金のデジタル払いが可能になります
上図にあるようにデジタル給与払い移行の流れとして
◆ 2023年4月より指定資金移動業者の審査
◆ 各事業場での労使協定の締結
◆ 労使協定締結後、労働者への説明と同意を経てデジタル払い開始
といったフローとなっています。
2023年4月段階ではまだ資金移動業者の審査が始まったばかり。
労使協定締結、労働者への説明と同意を経るプロセスを考えと、デジタル給与払い開始は2023年後半からになりそうです。
また同リーフレットではデジタル給与に関するいくつかの注意点も挙げてくれています。
デジタル給与に関する注意点
デジタル給与払いの注意点にはどのようなものがあるのでしょうか。
リーフレットでは
◆ 現金化できないポイントや仮想通貨での賃金支払いは認められない
◆ 全ての労働者の賃金支払い、受け取り方法の変更が必須ではない
◆ 労働者が希望しない場合、これまで通り賃金を銀行口座振り込みなどの受け取ることができる
◆ 雇用主は希望しない労働者へ、デジタル給与支払いを強制してはいけない
との旨を提示しています。
ポイントとしてはデジタル給与払いは現金化できるものに限ること。
そして労働者側の同意が必須であり、選択肢のひとつとしてデジタル給与払いが出てくるといったところになります。
使用者と労働者双方に役立つQ&A
また厚生労働省『デジタル払い』専用ページでは労使間で役立つQ&Aも提示してくれています。
そのQ&Aをいくつか見ていくと
◆ いつからデジタル払いが可能となるか
◆ デジタル払いにおける事業場で必要な手続きとは
◆ どの資金移動業者が選択できるようになるのか
◆ デジタル払いの留意点
といった点が質問事項として挙げれられています。
そしてそれぞれ質問事項に対して、対応方法などを分かりやすく提示してくれています。
いよいよ指定資金移動業者の審査も始まったデジタル給与支払い制度。
今後の賃金支払いの選択肢となってくるので、受け取る側の労働者、支払い側となる使用者どちらの立場の方もその制度をチェックしておきましょう。
これからも知っておくべき年収と給与の仕組み
職業別平均年収を知り転職目標を考える
今回ご紹介した『給与の受け取りや支払い方法』と合わせて、理解しておきたいのが『平均年収』。
賃金の受け取り方に選択肢があるように、職業別などいろんな働き方の選択肢にも着目していくと、職業ごとの平均年収なども見えてきます。
そして職業別の平均年収などを把握することで、自身の働き方に関する目標を見つけることができるようにもなります。
そんな働き方の目標設定に大切な『職業別平均年収』に関して、過去記事でも紹介しています。
これから転職目標を立てていこうと考えておられる方は、ぜひ参考にしてみてください。
全国の職業別平均年収などを把握して、転職副業の目標を設定しよう。
知っておくべき給与の手取りと社会保険料
最後に『デジタル給与払い』など賃金の支払い方ともうひとつご紹介したいのが、給与の手取り額を決める『社会保険料』。
会社員が実際に自由に使えるお金は、税金のほか各種社会保険料などを差し引いた金額となります。
給与額面ではなく、これら自由に使えるお金いわゆる『可処分所得』を理解することが、資産形成など生活を豊かにしていくカギになります。
そしてそれら『会社員給与と社会保険料』の仕組みについても記事にしてみました。
会社員として計画的に資産を築いていきたい方はぜひご覧ください。
会社員が覚えておくべき毎月引かれる社会保険料の計算方法とは。
『デジタル給与払い』を理解して、これからの賃金の受け取り方や支払い方法を模索していこう。