『非課税』に注目されがちな新NISA。
ですが新NISAは『成長投資枠』をもっと上手に活用できれば、パフォーマンスの幅が広がる可能性があります。
本記事ではそんな成長投資枠を使ったリバランス戦略についてアイデアを紹介します。
★ 投資にはリスクが存在します。自己責任で可能な範囲で検討するようにしましょう。
○ 長期投資には買い増しチャンスがある
○ 新NISA成長投資枠の有効な使い方
○ 上手なリバランスのやり方とは
◇ 具体的なリバランスの方法
○ 保有銘柄の期待利回りを計算
○ 利益確定のルールを決める
○ 再投資を活用する
◇ リバランス戦略のメリット
○ 損益分岐点が下がる
○ 投資のメンタルストレスが軽減
○ 様々な銘柄を俯瞰できるようになる
新NISA非課税枠を活かす戦略
長期投資には買い増しチャンスがある
新nisaの非課税無期限制度を用いて『成長投資枠』、『積立nisa枠』でインデックス投資を中心とした長期投資戦略をお考えの方も多いのではないでしょうか。
また、昨今の投資機運到来により新たに投資を始められた方も多いと思います。
とりわけ投資歴の浅い方にとってキツいのが『保有銘柄の下落』。
値上がり益を狙って買付したのに、元本割れするのは誰しも多かれ少なかれストレスになります。
ですが期待値がプラスの銘柄であれば、その下落場面は『チャンス』にもなります。
そんな下落場面をチャンスと取れるかどうかは、投資におけるマインドセットを構築できているかにかかっています。
ピンチをチャンスへ変えるために、まずは新nisaの仕組みについて確認していきましょう。
新NISA成長投資枠の有効な使い方
新nisaそして『成長投資枠』を使う理由は主にふたつ。
それは『非課税で再投資のパフォーマンスが落ちない』、『リアルタイム取引が可能』であるとういうこと。
新nisaが非課税制度であることはご存じの方も多いことでしょう。
これがなぜメリットであるかというと、これまで利益確定による税金徴収が、長期投資でのパフォーマンス低下につながると考えられている側面もあったからです。
ですが新nisaの無期限非課税制度を使えば、利益確定での税金徴収がないため、そのまま値上がり益を享受して再投資することが可能です。
株や投資信託どちらも通常は利益に約20%税金徴収されるので、長期かつ再投資を考えた投資戦略では非課税制度で大きくパフォーマンスは変わってきます。
そして新nisa成長投資枠もうひとつのメリット『リアルタイム取引』。
これは指値を設定して、自身の期待する利回りでの投資へとコントロールすることが可能です。
特に最近では『SBI証券』や『楽天証券』などネット証券の到来により、リアルタイム取引はますます便利になりました。
次章ではそれらメリットを駆使した、リバランスの具体的なやり方を見ていきましょう。
上手なリバランスのやり方とは
リバランスとは現金、株、債券、コモデティなど保有資産の比率を調整することを言います。アセットアロケーションとも呼ばれます。
たとえば現金比率と株の比率このふたつだけを調整することもリバランスです。
投資は買付で終わりでなく、売却による利益確定も含めたリバランスが重要となってきます。
そんなリバランスですが、自身が新nisa成長投資枠を使った戦略のアイデアは三つ。
◇ 保有銘柄の期待利回りを計算
◇ 利益確定のルールを決める。
◇再投資を活用する
これだけです。
これら戦略を駆使するには、ちょっとした調査。
そして現実可能なルール設定を敷くだけで可能になります。
次章ではこの戦略を活用するために、具体的な計算や調査方法について確認していきましょう。
◇ 具体的なリバランスの方法
保有銘柄の期待利回りを計算
まず自身が保有する銘柄、もしくは買付を希望している銘柄の期待利回りを計算しましょう。
今回は新nisa成長投資枠を用いた長期投資がテーマなので、長めのトレンドで調査します。
たとえば自身がご利用の証券会社で『5年チャート』もしくは『全期間チャート』を確認してみましょう。
するとたいていの場合、週足もしくは月足でのトレンドラインが確認できます。
そのトレンドラインから毎年の期待利回りを計算します。
例えば5年後に61%値上がり期待が出来る銘柄は、複利計算から逆算して毎年10%程度の値上がり益を出している計算になります。
注意点としてはこれらあくまで『自身の期待による平均値』なので、必ずしも戦略通りにいかないこともある点です。
予想に反して下振れして元本割れすることもあります。
ですが期待利回りを上回った場合、それは長期投資のパフォーマンスを上げるチャンス到来です。
次は利益確定のルール設定を確認していきましょう。
利益確定のルールを決める
たとえば期待利回り10%の銘柄が、1年で12%上昇したとき、それは2%程度を利益確定するチャンスです。
ここで『そのまま放置しておけば、もっと複利のパフォーマンスが上がるのに勿体ない』と考えられる方もいるかもしれません。
それも一つの考え方ですが、自身は『強欲相場は続かない』と考えており、利益確定で現金比率を増やして再投資チャンスを狙います。
また利益確定のチャンスを増やす方法として、『月割計算で期待利回りを算出する』方法もあります。
これはどういことかといえば年利を12カ月で除することで、一か月毎にアセットアロケーションをする方法です。
例えば期待年利回り10%であれば、月割すると
0.83% ≒ 10 ÷ 12
これは元本1000万円であれば期待年利周り10%のとき
100万円 = 1000万円 × 0.1
これを月割計算すると
8.3万円 ≒ 100万円 ÷ 12
この銘柄が3か月後に4%上がっていたとき
15.1万円 = 100万年 × 0.04 – 8.3万円 × 3
となり、三か月後に期待利回りより15.1万円の余剰が出来ていることになります。
このとき15.1万円を利益確定しておけば、下落場面での買い増しに使えることになります。
もちろん期待利回り通りにいかず利益確定チャンスが無いこともしばしばですが、強欲をコントロールしてパフォーマンスを管理する手法のひとつとして覚えておきましょう。
再投資を活用する
そしてリバランス最後の戦略が『再投資』です。
長く相場を見ていれば理解できますが、株式も投資信託も毎日上がったり下がったりします。
なので上昇相場は『高値掴み』を警戒する反面。
下落相場では『押し目買い』のチャンスだったりもします。
もちろんこれは長期トレンドで上昇が期待できるようなインデックス投資などに限る話です。
下手なナンピンは苦しみが続くこともあるので、その点は注意しておきましょう。
また、最近の投資信託商品の場合、ネット証券では『配当再投資』をあらかじめ設定できるものもあります。
値上がり益と合わせて、再投資戦略でパフォーマンスを上げたい方は、そんな設定も利用してみましょう。
◇ リバランス戦略のメリット
損益分岐点が下がる
前述したように、インデックス投資などで下落場面を上手に使えばチャンスになります。
そして下落場面での買付のメリットは、なんといっても『損益分岐点』が下がること。
損益分岐点が下がれば、数年先で値上がり益が期待できるとき、その利回りの幅を広げることが出来ます。
また損益分岐点に関しては、取得単価を平滑化する『ドルコスト平均法』と併用することも有用です。
ドルコスト平均法は『積立nisa』で月額買付額を設定しておけば、自然とその手法がとれるようになっています。
そんなドルコスト平均法も有効に活用しながら、もう少しアクティブに利回りを最大化させるなら、再投資戦略も念頭に置いてマーケットへ参加していきましょう。
投資のメンタルストレスが軽減
ルールを決めて利益確定する手法があれば、ドルコスト平均法で放置戦略をとる場合と比較して、キャッシュリッチになります。
たとえば相場の下落場面。
買付余力もギリギリで、保有銘柄が下がるのをただ静観するのみだと、メンタルに負担がかかることがあります。
そんなとき利益確定分のキャッシュがあれば『買い増しをする』、『更なる下落に備えて少しずつ投じる』など選択肢が出てきます。
実は投資の最大の敵のひとつは『自身のメンタル管理』だったりします。
かつて日本もバブルが弾けたように、強欲相場は永遠には続きません。
つまりリバランスで現金保有率、有価証券との調整を図ることが、自身のメンタルの健康にも寄与するというわけです。
様々な銘柄を俯瞰できるようになる
投資で知っておくべき言葉に『コアサテライト戦略』というものがあります。
これはコアとして大部分はインデックス投資で占めておき、チャレンジしたい個別銘柄はサテライトとして少し保有するといった戦略です。
マーケットへの参加が数年以上と慣れてくると、様々な銘柄を俯瞰できるようになります。
そんなとき利益確定分の現金があれば、サテライト銘柄へもチャレンジできるようになります。
仮にサテライト銘柄が自身の期待するパフォーマンスを発揮していなくとも、インデックス投資が大部分を占めているので、自身のポートフォリオはそんなに揺るぎません。
そんな感じでリバランスを上手に活用すれば、新たなチャレンジ機会や知見を得ることがあります。
相場から退場することが無い程度に、そんなリバランス戦略を楽しんでいきましょう。