株価へ影響を与える米国雇用統計とは。発表日や見方を解説します

株価へ影響を与える米国雇用統計とは。発表日や見方を解説します
       

為替や株価にも影響がある『米国雇用統計』。

今日の記事で米国雇用統計の概要、発表データの詳細について確認してみましょう。

 目次

米国雇用統計とは

米国雇用統計の英語原文の見方

米国雇用統計はアメリカ労働省が発表している統計データです。

アメリカ労働省は英語表記Bureau of laborであり、下記リンクから米国雇用統計の英語原文を確認することができます。

米国雇用統計原文はこちら

上記リンクより、まずはEmployment stituationをページ内で検索してみましょう。ページ検索はCtrl + F5で簡単に任意のワードを検索できます。

MonthlyのEmployment situationを見つけてクリックしたら、遷移したページでEmployment situation Summaryをクリックしましょう。これで最新月の雇用統計が確認できます。

英訳が手間なら、google翻訳をかけて見るのもよいでしょう。

米国雇用統計の発表日

米国雇用統計の発表日は毎月あります。毎月の第一週目の金曜日が発表日です。

なお発表時間は、アメリカ現地時間の午前8時30分頃になります。サマータイム制度により、季節で少し発表時間がずれる可能性があるので注意が必要です。

ちなみに日本は13時間時差が進んでいるので、夏場は日本時間の第一週金曜午後9時30分頃、冬場は日本時間の午後10時30分頃になります。

自身はこの時間にyahooファイナンスなどで速報値が出るので、そちらのサイトで確認しています。

米国雇用統計と株価

米国雇用統計は良くも悪くも、株価や為替相場へ影響をもたらす可能性があります。

米国雇用統計は事前にエコノミストなどが発表前に予測値を算出し、発表時間に各投資家は発表値との乖離などを確認します。

たとえば予測値を超えて失業率が改善されたとき、各投資家は実体経済の回復がより進んでいると判断し、株価や為替に影響を与えることがあります。

また逆に予測値を失業率が改善していないとき、各投資家は実体経済の回復が遅延していると判断し、金融緩和は継続するのではないかといった心理をもたらし、株価へ影響することがあります。

ちなみに予測値と発表値に乖離がなければ、予想通りということで織り込まれた株価への影響が少なくなることもあります。

米国雇用統計発表時間には、必ずしも株価や為替が大きく動くとは限りませんが、ボラティリティの高まる可能性もゼロではないので注視しておきましょう。

なお上記で出てきた金融緩和に関しては、金融縮小「テーパリング」と株価について過去記事で紹介しているので、興味のある方は御覧ください。

「テーパリングとは」

米国雇用統計で発表されるデータ

米国の非農業部門雇用者数

それでは米国雇用統計で発表されるデータの詳細項目について確認していきましょう。

まずは米国の非農業部門雇用者数。Total nofarm payroll employmentが非農業部門雇用者数を意味します。

たとえば2021年7月のサマリーを確認すると、rose 943000 in julyと発表されており、非農業部門雇用者数は新たに94万3千人が2021年7月に雇用されたことを意味しています。

雇用者数の全体的な増減としては、この非農業部門雇用者数がよく注視されています。

失業率

次に確認できるのが失業率。失業率はunemployment rateで原文表記されています。

2021年7月のサマリーでは、declined by 0.5 percentage to 5.4 parsentと表記されており、訳すと『失業率は0.5ポイント減って5.4%になった』という意味になります。

decline = 「減少する」で少し紛らわしいですが、失業率が減ったので雇用状況は改善しているといった解釈ができます。

失業率はサマリー冒頭である、非農業部門雇用者数と合わせて記載されています。

平均時給

雇用統計では平均時給の推移についても記載されています。

平均時給はhourly earningsで原文表記されています。2021年7月発表分では、increasd by 11 cents to $30.54とあり、訳すと『11セント上昇して30.54ドルとなった』となります。

increased = 増加であり、decreaseは反対に『減少』を表します。ここだけでも覚えていると、平均時給が上がったのか下がったのかすぐ訳すことができます。

平均時給の上下も、雇用環境の改善度や労働需給を表す指標となります。

米国雇用統計を更に活かす

労働参加率にも着目

雇用統計では労働参加率といった指標も発表されています。

労働参加率は就業可能年齢に達した者のうち、どれくらいの人々が実際に仕事に就いたり、職探しをしているかを表している指標です。

2021年の米国では失業給付が上積みされていることもあり、失業給付を卒業してどれくらいの人々が労働市場へ戻ってきているかについて注目されています。

2021年7月発表文では、participation rate was little changed at 61.7 percentとあり、労働参加率はほとんど変わらなかったと記載されています。

participation rate = 労働参加率になります。

他の経済指標と合わせて活用

米国雇用統計発表は、月1での大きな指標発表のひとつですが、投資家はその他さまざまな決定会合や指標を合わせて確認しています。

例えば政策金利。米国であれば政策金利はFOMCといった金融政策決定会合で協議され、金融の緩和や引き締めについて話し合われています。また来週2021年8月26日、27日に迫ったジャクソンホール会議では、各国中央銀行総裁やエコノミストの間で世界経済について協議され、重要なアナウンスがなされる可能性もあります。

そのほか消費者物価指数。頭文字をとってCPI発表という形で、毎月発表されています。インフレやデフレの指標のひとつとなります。

『FOMC』や『ジャクソンホール会議』、『CPI』については過去記事でも取り上げています。気になる方は確認してみましょう。

『FOMCについて』

『ジャクソンホール会議』について

『CPIについて』