転職を検討するならば知っておきたい『アルムナイ採用制度』。
人手不足で売り手市場の続く昨今、アルムナイ採用制度を導入する企業が出てきています。
本記事ではそんなアルムナイ採用制度の概要、転職に活かすための方法について解説していきます。
○ アルムナイ採用制度とは
○ アルムナイの語源や意味
○ アルムナイ制度を導入する企業は増加中
◇ アルムナイ制度を活用するメリットとは
○ 個人にとって多様なキャリアパスが描ける
○ 採用側も過去の在籍者なのでリスク管理しやすい
○ 企業の新たな新たな価値創造につながる
◇ 上手に転職満足度を高めていくために
○ 可能な範囲で円満退職を目指す
○ 在籍した企業のコネクションを大切に
アルムナイ採用制度を知る
アルムナイ採用制度とは
昨今、ビジネスニュースで耳にする『アルムナイ採用』。
いったいどういった採用制度なのでしょうか。
アルムナイ採用制度とは、端的に言えば自社を退職した人材を、また再雇用する手法を指します。
様々なライフスタイル、働き方が求められる昨今。
転職、退職はもう当たり前のものとなってきています。
そして多数の業種での人手不足の状況も相まって、採用する側の企業もいろんな採用手法を模索しています。
そこで上場している株式会社においても、『アルムナイ採用制度』の窓口を設けて、広く人材の確保に乗り出しているという背景があります。
ところでこの『アルムナイ』という言葉。
語源はどこにあるのでしょうか。
アルムナイの語源や意味
アルムナイとは『ラテン語』を語源としています。
ラテン語の『アルマ・マーテル』を由来としており、『母校』を意味します。
そして英語では『alumni』となり、『卒業生』や『同窓生』を意味します。
つまり一度は自社に属し、退職をもって卒業していった人材。
そういった人材を再び確保に乗り出すのが『アルムナイ採用制度』というわけです。
次はアルムナイ採用制度を取り巻くトレンドについても見ていきましょう。
アルムナイ制度を導入する企業は増加中
アルムナイ採用制度に取り組んでいる上場株式会社は増えてきています。
たとえば『トヨタ』。
トヨタでは『Alumni Recruiting』という採用窓口を設けて、一度退職された方の再雇用に向けて取り組んでいます。
ほかには『みずほフィナンシャルグループ』。
みずほフィナンシャルグループもまた『カムバックアルムナイ採用』窓口を設けて、採用活動へ取り組んでいるようです。
これら企業に関わりがあり、一度退職された方であればウェブサイトで窓口を確認してもよいかもしれませんね。
おそらく人手不足の続く日本では、こういったアルムナイ採用窓口を設ける企業は増加していくここと考えられます。
ここまでで概要を掴めたアルムナイ採用制度。
次章では求職者側、雇用側の双方の視点に立って、転職に活かすためにもそのメリットについて見ていきましょう。
アルムナイ制度を活用するメリットとは
個人にとって多様なキャリアパスが描ける
まずは退職、転職を考えている『求職者側』に立ってアルムナイ採用制度のメリットについて確認していきましょう。
今更感もありますが終身雇用、年功序列といったキャリアが希薄化しつつある日本企業。
そんな現状も相まって、個人はキャリアパスを企業に依存することなく、自身で考える時代になりました。
仕事意欲の高い方は採用時の職種や業種だけでなく、他の職種や業種へチャレンジするために退職する方もいらっしゃるかもしれません。
また、ワークライフバランスの調整を考えると結婚や育児、親の介護もまで視野に入れることで、人によっては後ろ髪を引かれる思いで退職を余儀なくされる方もいらっしゃることでしょう。
そんなとき転職の選択肢として『アルムナイ採用制度』があれば、それが役に立つ人もいるかもしれません。
『隣の芝生は青く見える』と思って転職してみると、以外と退職してしまった企業の良さを改めて発見することがあります。
また育児、介護などのイベントがひと段落ついて、再びしっかり仕事をしたいという希望が湧く人もいることでしょう。
アルムナイ採用制度を設けている企業の退職者であれば、そんな状況になったときに転職がスムーズにいくかもしれませんね。
採用側も過去の在籍者なのでリスク管理しやすい
今度は採用する企業側に立って『アルムナイ採用制度』のメリットを考えてみましょう。
ひとつ例を挙げるなら『リスク管理』しやすくなるということ。
一度でも自社企業に勤めた経歴があるなら能力、倫理観、人柄を把握できているはず。
つまり他企業から応募してきた人材と比較すると、その『人となり』が理解できていることになります。
すると『採用してみたものの思いのほか能力不足だった…』というミスマッチも、アルムナイ採用制度を活用すれば回避しやすくなります。
加えて他企業で培ってきたところがあれば、能力アップした上での再雇用となり、その点も採用する企業側にとってプラスになることでしょう。
企業の新たな新たな価値創造につながる
言うなれば『アルムナイ採用制度』は企業の新たな価値創造につながることでしょう。
自社だけキャリアを経ていると気づきにくいことがたくさんあります。
それは『社風』、『キャリア制度』、『業種』、『商材』など、その企業独自の考え方や商慣行があるので、気づきが無くとも悪いことではありません。
ですが目まぐるしく商売のトレンド、イノベーションが起こる昨今。
価値観や働き方が硬直化している企業は、この先で生き残ることは難しくなってくることでしょう。
そんな現代で『アルムナイ採用制度』窓口を設けていれば、企業側そして転職者側どちらにとっても良い循環が生まれる可能性があります。
生存戦略としてアルムナイ採用制度を選択肢に入れてみましょう。
最後にアルムナイ採用制度をうまく活用して、転職満足度を高めていくための留意点について押さえておきましょう。
上手に転職満足度を高めていくために
可能な範囲で円満退職を目指す
転職者が『アルムナイ採用制度』を上手く活用するためにすべきこと。
それは『円満退職』を目指すということです。
退職ともなれば『有給消化日程調整』、『引継ぎ』など煩雑な日々を送ります。
それら業務で退職日までにストレス負荷のかかる日々を送る方も少なくありません。
ですが『アルムナイ採用制度』を活用するならば、それら業務も可能な範囲でしっかりとこなしておきましょう。
例えば就業規則を読み『退職予告期間はどうなっているか』、『貸与物の返却方法』などあれば、しっかり確認しておきましょう。
そういった細かい気配りをもって退職に至ることができれば、辞めるときも悪い印象をもたれることは少ないでしょう。
『飛ぶ鳥跡を濁さず』。
いつか舞い戻ってくることがあるならば、いさかいのない退職にしたいものですね。
在籍した企業のコネクションを大切に
『アルムナイ採用制度』で持っておくべきもう一つの価値観があります。
それは『在籍した企業のコネクションを大切に』するということ。
転職が当たり前の昨今ですが、転職前の企業では何かしら人的ネットワークが構築されます。
なのでそれら人的コネクションは退職後に断ち切るわけでなく、可能は範囲で連絡を取ってみたりするのも良いかもしれません。
そういった情報交換を継続できれば退職した企業の現状、転職先企業のこれからを把握する機会が創出されます。
そして転職後に退職した企業の良さを再発見できれば、『出戻りも考えてみるか』という選択肢も出てきます。
つまりは人的コネクションによる情報交換は、『アルムナイ採用制度』を活用する上で大切になります。
持続可能そして自分が描きたいキャリアパスを進めていくめにも、アルムナイ採用制度について考えていきましょう。