株式投資家が知っておくべき自社株買いの意義や理由とは。

株式投資家が知っておくべき自社株買いの意義や理由とは。
       

株式投資家なら知っておきたい『自社株買い』の意義。

自社株買いをする企業の意図、投資家の考え方など詳しく解説していきます。

☆ 本記事は投資成績を保証するものではなく、投資にはリスクが存在します。自己責任と安全資産の範囲内で検討をお願いします。

 目次

なぜ企業は自社株買いをするのか

自社株買いとは

その名の通り自社株買いは【自社の株を買い入れる】ことを指します。

自社株買いは、一般的には決算短信などIR情報として投資家向けに公表されて、進められるケースが多くあります。

自社株買いの公表理由には

◆ 自社株買いの理由
◆ 取得する株式の種類
◆ 取得する株式の総数と総額
◆ 取得期間
◆ 取得方法

といったものが挙げられます。

そんな自社株買いですが、それを実施する理由はどこにあるのでしょうか。

理由のひとつとしてはまず株主還元といったものがあります。

自社の株を買う理由のひとつは株主還元

いわずもがな株価というものは【買付】と【売買】といった需給バランスにより、その価格が決まることとなります。

なので自社株買いは単純に設定総額までは買付が実施されるので、その株価は上がりやすくなるという仕組みがあります。

また他にも自社株買いで【消却】といった方法を取ると、理論値としての【eps】が上昇するため、それに合わせて株価が上がるといった考え方もあります。

そういった理由から自社株買いは、その株式を保有している株主に対する還元としてマーケットでは理解されることがあります。

そんな自社株買いですが、理解するためのポイントも存在します。

自社株買いを理解するポイント

ここまでで自社株買いの公表は、各投資家が買うべきか否かの判断材料のひとつとして機能することがご理解いただけたと思います。

そんな自社株買いを理解するポイントは下記の通りです。

◆ 自社株を買う方法は消却か金庫株か
◆ 自社株買いとepsとper
◆ なぜ配当でなく自社株買いで株主還元か

他にもポイントはありますが、まずはここを理解することが大切です。

【消却】や【金庫株】など、なんだか聞きなれない言葉もありますが、理解してみるとそんなに難しくもありません。

次章でそれら自社株買いのポイントについて、深掘りして理解してみましょう。

自社株買いの考え方

自社株を買う方法は消却か金庫株か

自社株買いを実施する企業が、自社株を買うには『消却』か『金庫株』かといった選択肢があります。

消却を実施すると流通する株式数が減少します。そのため理論値としては、一株当たりの利益は必然的に上昇することとなります。

いっぽう金庫株とは消却せず、自社株買いした株式を自社で保有することになります。

その場合は理論値として、一株当たりの利益は変わらない計算ですが、自社株買いによる買い圧力自体が株価を押し上げることもあります。

自社株買いにおける『消却』そして『金庫株』どちらにせよ、投資家にとっては材料として機能します。

ですが自社株買いにおける処理方法には違いがあることも知っておくと有効です。

自社株買いとepsとper

さて、ここまでで出てきた『自社株買い』と『eps』ですが、もう少し細かく見ていきましょう。

epsとは日本語で『一株あたりの利益』を指します。

その計算式は

eps = 当期純利益 ÷ 株式数

となります。

ちなみに自社株買いにおける『消却』では、上記計算式の分母にあたる『株式数』が減少するため、epsが上昇することになります。

もう少し踏み込むならperにも注目してみましょう。perの計算式は

per = 株価 ÷ eps

なのでeps上昇はper低下につながり、per低下は相対的に割安となるため、投資家からの買いも入りやすくなります。

このように『自社株買い』は理論値として『eps』そして『per』へ作用することで、株価にも影響するといった考え方も出来ます。

なぜ配当でなく自社株買いで株主還元か

『株主還元』にはいろんな方法がありますが、なぜ企業によっては『配当』ではなく『自社株買い』といった手法を取るところがあるのでしょうか。

そのひとつの理由としては、『上げた配当は下げにくい』といった事情もあるようです。

大手そして伝統的な企業の中には『〇期連続増配』など、配当を増やすことで株主への還元をアピールする企業もいます。

逆に言うならば増配は魅力的に写っても、経営不振で減配せざるを得ない時は、株主からの信用や人気も下がってしまうリスクもあります。

そのため株主還元の方法でも、増配など配当による還元手法には慎重な姿勢を取り、自社株買いで株主還元を図る企業も一定数いるようです。

最後に、自社株買いと共に確認すべき株価評価の指標についてもまとめてみので、よければそちらもご覧ください。

自社株買い以外で知っておくべき株価の評価方法

epsアナリスト予想とpsr分析

自社株買い以外にも、株価を推し量る指標はたくさんあります。

たとえば『アナリスト予想』。

投資家はアナリストが予想したeps、売上高などを参考に、株価を評価します。

そのほかeps以外にも、『psr』といった指標もあります。

こちらはepsやperといった利益と株価に注目するのではなく、売上で株価を評価するのがpsrです。

利益が出ていなくとも、先行投資に回して売上を成長させている企業を探し出すのにpsr評価は有効です。

『米国株におけるアナリスト予想』、『psr』については過去記事で紹介しています。

興味のある方はぜひご覧ください。

米国株価の分析で覚えておきたい証券アナリスト予想とは。

株価売上倍率(psr)の分析方法について解説していきます。

テクニカル分析も合わせて理解する

投資家なら経営指標を用いたファンダメンタルズ分析以外にも知っておきたい『テクニカル分析』。

テクニカル分析には様々なものがありますが、自身が最近注目していのは『一目均衡表』。

一目均衡表は転換線や基準線、雲など独特の用語がいろいろと出てきますが、慣れてしまえばチャートを分かりやすく理解できるようになります。

特に『三役好転』など、主要な用語と見方は覚えておいて損はありません。

そんな『一目均衡表』についても過去記事では紹介しています。

興味のある方はぜひご覧ください。

【テクニカル分析】一目均衡表の雲や遅行線の見方や使い方を解説

ファンダメンタルズ分析で使えるEBITDA

自社株買いを理解したなら、他にも覚えておきたいファンダメンタルズ分析指標。

そんな指標のひとつに『EBITDA』があります。

EBITDAを使えば売上や営業利益のみならず、少し違った視点で企業評価をすることが出来ます。

投資における企業価値を評価する上で知っておいて損はない知識です。

そんなEBITDAに関しても記事にしてみました。

ファンダメンタルズ分析をアップデートしたい方はぜひご覧ください。

投資にも役立つebitdaマージンやebitでの分析方法を解説。

投資家なら自社株買いを理解して、その意図と相場の動きを確認していこう。